皆さんは哲学書と聞くとどんなイメージを持ちますか?
「なんかすごく理屈っぽくて難しそう…」
「哲学なんてやって意味あるの?」
という感じに思っている人もいるかもしれません。
安心してください。
これまでの哲学に抱いていたマイナスなイメージを払拭させてくれる哲学書があります。
タイトルにもありますように、「史上最強の哲学入門」です。
結構分厚い本なのですが、それもそのはず。それくらい紙面を使ってとてもわかりやすい文章で構成されています。
そしてユーモアに溢れ、卓越した喩え話。
ただの知識の羅列に終わるのではなく、著者の哲学に対する熱い想いが強く伝わってきます。
あらゆる層の人達にも読みやすい、理解しやすい、内容がス~ッと頭に入ってきます。
読んでいて、「あれ、俺って頭良くなってきているんじゃない?」って思わせてくれて、哲学のみならず、読書そのものの楽しさを教えてくれる本です。
この本の構成は4つのテーマ「真理の『真理』」「国家の『真理』」「神様の『真理』」「存在の『真理』」から成っています。
目次
「真理の『真理』」
このテーマでは、字のごとく「真理」の追究について哲学者たちがバトルを繰り広げています。
・デカルト(方法的懐疑)
・ヒューム(懐疑論)
・カント(批判哲学)
・デューイ(プラグマティズム)
・デリタ(脱構築)
・レヴィナス(他者論)
「国家の『真理』」
国家の正体とはなにか?理想の国家とは?
・アリストテレス(論理学)
・ホッブズ(社会契約説)
・ルソー(人民主権)
・アダム・スミス(見えざる手)
「神様の『真理』」
神の正体を見極めようとした哲学者の論戦。
・エピクロス(快楽主義)
・イエス・キリスト(復活)
・アウグスティヌス(懺悔)
・トマス・アクィナス(スコラ哲学)
・ニーチェ(超人思想)
「存在の『真理』」
そもそも存在するとはどういことだろう?存在の謎に挑む哲学者たち。
・ヘラクレイトス(万物流転説)
・パルメニデス(万物不変説)
・デモクリトス(原子論)
・バークリー(主観的観念論)
以上31人の歴代の哲学者たちの頭脳と頭脳の戦いをわかりやすく解説されています。
紹介されたこれらの哲学者たちの主張もとても面白いのですが、著者である飲茶氏の想いや現代に生きる私たちの生き方に対する考えも所々見えて大変勉強になりました。
私の感想ですが、特にニーチェの箇所での解説における飲茶氏の見解は、先の見えない、閉塞感漂う私たちの生活・生き方に一石を投じる、というか喝を入れてくれています。
知識や思考というのは絶えず更新されなくてはならない、既存の哲学もいろんな批判を受けて、「それってホントウにそうなの?」「こういう考え方はどうだろう?」
と常に様々な意見と意見をぶつからせてよりよいものにしていく……。
「既成概念を打ち砕け!」
そういったツールとしての哲学は私たちの生活や社会の中でも使える、非常に有用なものだと思います。
知識を詰め込むだけでなくそれをいかに自分の生き方に活用していくか。
哲学に終わりはありません。
この本でぜひそういったことを感じていただけたらと思います。
なお、この作品には続編もあります。そちらもどうぞ